プレシーズン最終テスト:過密日程のなかで挑んだドイツでの一戦
アストン・ヴィラは8月15日、新シーズンの幕開けを告げるプレミアリーグ開幕戦を目前に控え、プレシーズン最後の大切なテストマッチとしてボルシア・メンヒェングラートバッハとのアウェイゲームに臨んだ。会場となったボルシア・パークには5万148人の観客が詰めかけ、熱気あふれる雰囲気が包み込むなかでキックオフを迎えた。
ウナイ・エメリ監督率いるチームは、この試合のわずか3日前にオーストリアのザルツブルクでパリ・サンジェルマンとのUEFAスーパーカップという極めて強度の高い激闘を繰り広げたばかりだった。激戦の末に惜敗したヴィラの一行は、そのまま欧州本土にとどまり、ドイツ北部の厳しい暑さのなかでトレーニングを継続。過密日程と疲労が色濃く残る状況のなか、主力と控え選手のコンディション調整および戦術の最終確認を目的として本戦に臨んだ。
前半の立ち上がりと守備の崩壊:4分間で喫した連続失点
エメリ監督はスーパーカップの先発メンバーから一気に8人を入れ替える大幅なターンオーバーを敢行した。GKマルコ・ビゾット、DFヴィクトル・リンデロフ、MFジョージ・ヘミングスの3人のみが連続先発となり、キャプテンマークはタイロン・明スが巻いた。また、中盤にはロス・バークレーやルーベン・ボガルデらが名を連ね、前線にはタミー・アブラハムが起用された。
しかし、試合序盤からペースを握ったのはホームのボルシアMGだった。試合開始早々の6分、ヴィラの自陣ビルドアップに対して鋭いハイプレスを仕掛けたボルシアMGのウーゴ・ボリンがバークレーからボールを奪い取ってシュートを放つなど、ヴィラ守備陣の隙を突いた。後方からの組み立てを図るヴィラに対し、ボルシアMGは素早い切り替えとアグレッシブなプレッシングで次々とチャンスを演出していく。
耐える時間の続いたヴィラだったが、30分過ぎに試合が動く。32分、ボルシアMGの中盤から出された鋭い縦パスがヴィラのディフェンスラインを切り裂き、右サイドに抜け出したフランク・オノラがグラウンダーのクロスを供給。ファーサイドへ走り込んだ相手主将のティム・クラインディーンストに押し込まれ、先制を許してしまう。
さらに動揺が収まらないそのわずか3分後、35分にはケヴィン・シュテーガーの正確な右コーナーキックから、再びクラインディーンストにヘディングシュートを叩き込まれて追加点を奪われた。短時間で2点のリードを許したヴィラは、前半終了間際にヘミングスが果敢なドリブルからミドルシュートを放ったものの枠を捉えきれず、2点ビハインドで前半を折り返すこととなった。
6枚替えの采配と手応え:マッギンの追撃弾と後半の見せ場
ハーフタイムを迎えると、エメリ監督は即座に動きを見せた。後半開始に合わせて実に6人もの選手交代を同時に敢行。GKビゾットに代えてジェームズ・ライトを投入したほか、イアン・マーツセン、ブバカル・カマラ、エミ・ブエンディア、そして本隊の主将ジョン・マッギンらをピッチへ送り込み、布陣と戦術的強度を一気に向上させた。
この大胆な交代策により、後半のヴィラはガラリと一変したパフォーマンスを披露する。スムーズなパスワークで相手のプレッシングを回避し、ピッチの幅を広く使った攻撃でボルシアMGを押し込み始めた。49分にはブエンディアの巧みなスルーパスからマーツセンが抜け出すなど、前半には見られなかったスムーズな連動性が生まれ始める。
そして69分、ヴィラの積極性が実を結ぶ。左サイドでボールを持ったマーツセンが中央のブエンディアへグラウンダーのパスを供給すると、ブエンディアは相手DFを引き寄せてペナルティエリア内へ絶妙な折り返しを供給。そこへ勢いよく走り込んできた主将のマッギンが左足で正確にゴールへ押し込み、1点差に迫る反撃のゴールを奪ってみせた。
勢いに乗るヴィラはその後もボール支配率を高め、試合の大部分を相手陣内で進めた。終盤にはジャマルディーン・ジモ=アロバなどの若手攻撃陣を投入して同点ゴールを狙い、ジモ=アロバ自身も枠を捉えるシュートを放つなど追い詰めた。一方で、相手の鋭いカウンターを受ける場面もあったが、後半からゴールマウスを守った若手GKライトが相手FWイサク・リドベリの決定的な至近距離ヘディングを間一髪で防ぐ素晴らしいセーブを見せ、更なる失点を阻止した。しかし試合はそのまま2-1でタイムアップを迎え、ヴィラはプレシーズン最終戦を勝利で飾ることはできなかった。
開幕戦ブライトン戦へ向けた収穫と指揮官の思惑
プレシーズン最終戦を落とす結果となったものの、このドイツ遠征とボルシアMG戦を通じてアストン・ヴィラが得た収穫は小さくない。UEFAスーパーカップという過酷な真剣勝負の直後に行われたこの試合で、エメリ監督はターンオーバーを実施することでチーム全体の試合感を維持しつつ、主力を休ませるバランスを取ることに成功した。
特に前半で見つかった守備陣の構築やビルドアップ時のリスク管理という課題は、シーズン開幕前に修正すべきポイントとして明確になった。一方で、後半に見せた主力を投入した際の高い流動性と決定力、そして過密日程のなかでも衰えない運動量は、新シーズンのリーグ戦や欧州戦線を戦い抜くうえでの大きな自信となるはずだ。
ヴィラの2026/27シーズン・プレミアリーグ開幕戦は、8月23日(日)にアウェイで行われるブライトン&ホヴ・アルビオンFCとの一戦となる。ヨーロッパでのハードなプレシーズン日程を完遂したエメリ・ヴィラが、この敗戦からどのような修正を施し、敵地での開幕戦に乗り込むのか、その手腕に大きな期待が集まる。