スタンフォード・ブリッジでの狂乱の9ゴール
カラバオカップ3回戦において、チェルシーの本拠地スタンフォード・ブリッジで壮絶な打ち合いが繰り広げられた。試合開始が遅れるトラブルを経て始まった一戦は、過密日程の中で両チームともにリーグ戦から先発メンバーを大きく入れ替えて臨んだ公式戦となった。リーズはターンオーバーを採用し、ピッチ上に送り出した新たな組み合わせで格上のチェルシーに対峙した。直近のリーグ戦における戦績やコンディションの差を考慮すれば、このカップ戦は両指揮官にとってスカッド全体の層を試す重要な機会であった。シャビ・アロンソが率いるチェルシーは、中盤の構成やサイドの組み合わせを変えながらも、自陣からの丁寧なビルドアップを志向するスタイルを崩さない。対するダニエル・ファルケ率いるリーズは、コンパクトなブロックを形成しつつ、鋭いカウンターの糸口を探る構えを見せていた。
前半の主導権を握ったのはアウェイのリーズだった。前半23分、右コーナーキックの場面でタリク・ムハレモビッチがファーサイドからヘディングシュートを叩き込み、リードを奪う。チェルシーを率いるシャビ・アロンソ監督は、試合前の予告通りにスタメンを大きく変更して臨んでいたが、機能不全に陥った中盤と前線の連係不足により、前半の45分間は有効な攻撃の形を作れず苦しい展開を強いられた。アロンソが志向する可変的なビルドアップも、リーズの組織的なプレスを前に寸断され、ホームサポーターからは不穏なざわめきが漏れ始めていた。リーズの守備陣は、チェルシーのインサイドハーフに自由な前向きのトラップを許さず、パスコースを限定することで相手の攻撃の出端を完全に挫いていた。
後半の主導権争いとチェルシーの反撃
試合が完全に動いたのは後半に入ってからだった。後半開始直後の3分にリーズが追加点を挙げ、リードを2点に広げると、ここから歴史的な乱打戦の幕が上がった。ダニエル・ファルケ監督が采配を振るうリーズは、前線への素早い仕掛けとセカンドボールの回収でチェルシーをさらに追い詰めた。一時優位に立ったアウェイチームに対し、チェルシーのベンチは沈黙を保てず、後半の早い時間帯から流れを変えるべく主力をピッチへ送り出す決断を下す。ハーフタイムを挟んでも修正しきれなかった守備の脆さを断ち切るため、アロンソは一気にカードを切った。
ピッチに立ったコール・パーマーやモーガン・ロジャースらが攻撃を牽引し、試合の様相は一変する。パーマーとロジャースはわずか12分間の間に立て続けに得点に絡むなど驚異的なパフォーマンスを披露し、一気に試合をひっくり返した。リーズの守備陣は突然の猛攻に対する数的優位を保てず、中央のスペースを次々と突かれた。後半だけで計8ゴールが生まれる展開の中、チェルシーは7分間で2点差をひっくり返すなど圧倒的な攻撃力を見せつけ、最終的に6-3というスコアで4回戦進出を決めた。ピッチ中央でのルーズボール争いが激化するにつれ、リーズのDFラインの統率は徐々に失われ、チェルシーのスピード豊かなアタッカー陣を捕らえきれなくなった。
途中出場の田中碧と両チームの今後
リーズは2点のリードを守り切れず、カップ戦敗退という結果に終わった。2-4とビハインドを背負った後半22分には、日本代表MFの田中碧がピッチに送り出された。田中は限られた出場時間の中でより積極的な縦パスやプレッシングを見せ、中盤の活性化を図ったものの、怒涛の勢いを見せるチェルシーの攻撃を止めるには至らなかった。それでも、中盤の底からゲームを組み立てようとしたその姿勢は、チームにとって数少ない収穫の一つとなった。田中が入ったことでリーズは一時的にボール保持の時間を延ばしたが、チェルシーの猛烈なプレッシャーを前に孤立する場面も散見された。
試合後、チェルシーのシャビ・アロンソ監督はチームの立ち上がりや守備の乱れについて言及し、自らに矢印を向けて改善を誓った。一方、敗れたリーズのイーサン・アンパデュらは、この敗戦から多くの教訓を学び、今後のリーグ戦に向けて切り替えていく姿勢を示している。一時は2点をリードしながらも崩壊した守備組織の立て直しは、ファルケ監督にとって次節以降の急務となる。両チームともに過密日程が続く中、このスタンフォード・ブリッジでの激闘で得た課題と手痛い教訓を、それぞれの目標達成に向けてどう昇華させるかが問われている。リーグ戦での上位浮上を狙うチェルシーと、昇格・残留争いを戦うリーズの双方が、この90分間で露呈したそれぞれの弱点をどのように修正していくのか、今後の戦いぶりが注目される。