昇格組ハルが誇る強固な守備組織とヴィラの攻勢

プレミアリーグ第3節、MKMスタジアムで行われたハル・シティとアストン・ヴィラの一戦は、互いに守備の集中力を切らさず0-0のドローとなった。前節から勢いに乗る昇格組のハルに対し、開幕から勝利のないヴィラがどのように挑むかが注目された。ウナイ・エメリ監督にとってアストン・ヴィラでの指揮200試合目となるメモリアルなゲームであり、チームは待望の今季初白星を目指してアウェイの地に乗り込んだ。

試合は立ち上がりからヴィラがボールを支配する展開となる。開始わずか2分、今夏加入したニコラス・ジャクソンがイアン・マーツェンのクロスに頭で合わせたが、シュートはわずかに枠を外れた。ヴィラは中盤のロス・バークリーやジョージ・ヘミングスを中心にパスを散らし、ハルのコンパクトな守備ブロックに揺さぶりをかける。25分にはバークリーがペナルティエリア手前から得意の右足で鋭いシュートを放ったが、ハルの守護神コンスタンティノス・ツォラキスの牙城を崩すことはできなかった。

対するハルも、満員のホームサポーターの大歓声を背に粘り強い対応を見せる。セルゲイ・ヤキロヴィッチ監督が構築した強固な守備組織は、ヴィラにボールを持たせながらも決定的な侵入を許さない。前半終了間際にはリーガン・スレーターが鋭いミドルシュートでヴィラのゴールを脅かすなど、要所でカウンターの鋭さを見せ、互いに譲らないままスコアレスで試合を折り返した。

守田欠場を埋めるハルのプランと新戦力の台頭

ハルにとってこの試合の懸念材料の一つは、中盤の軸として出場してきたMF守田英正の欠場だった。試合前の報道によると守田は約3週間の離脱になる情報があることが伝えられており、この試合ではメンバー外となった。ヤキロヴィッチ監督は代わりにリュカ・グルナ・ドゥアトを先発に抜擢。グルナ・ドゥアトは中盤のフィルター役として強度の高い守備を披露し、ヴィラの攻撃の芽を摘み続けた。

後半、ヤキロヴィッチ監督は積極的に交代カードを切り、移籍市場の最終日に獲得した新戦力をピッチに送り出す。60分過ぎ、ソルバ・トーマスとブルック・ノートン=カフィーを投入すると、この采配がチームの推進力を一気に加速させた。ノートン=カフィーの積極的な仕掛けから得たコーナーキックの流れから、モハメド・ベルーミが放った独創的なシュートはクロスバーを叩き、ヴィラに冷や汗をかかせた。

終盤にはモハメド=アリ・ショとオリ・マクバーニーの連携から絶好の機会が訪れたが、ショのシュートはヴィラのGK鈴木彩艶の正面を突き、ネットを揺らすには至らなかった。試合終了間際にもマクバーニーがクロスに合わせる場面があったが、ステップが合わず勝ち越しゴールは奪えなかった。ハルは主力を欠きながらも、新加入選手たちが速やかにチームにフィットしつつあることを証明した。

鈴木彩艶が示したビルドアップの価値とエメリの200試合目

アストン・ヴィラにとって、この試合における最大の収穫の一つは守護神・鈴木彩艶のパフォーマンスだろう。プレミアリーグデビューから3試合目にして初のクリーンシートを達成しただけでなく、そのプレースタイルは現代的なゴールキーパーとしての価値を十二分に証明するものだった。鈴木は鋭いセービングに加え、最終ラインからのビルドアップで卓越した配球力を発揮した。

特に印象的だったのは、ハルのタイトなプレスを無力化するグラウンダーの縦パスと、一気に局面を打開する正確なロングフィードだ。後半、鈴木の精密な低弾道のキックからヘミングスへと繋がり、そこからエミリアーノ・ブエンディアの決定機へと至るシーンは、単なる守護神の枠を超えた存在感を示していた。エメリ監督が志向するポゼッションサッカーにおいて、鈴木の足元の技術は重要な戦術要素となっている。

一方で、エメリ監督にとっては手放しで喜べないドローとなった。指揮200試合目という節目を勝利で飾れず、開幕3試合で未だ勝利がない。後半にはブエンディアやジョン・マッギンに決定的なチャンスがあったものの、シュート精度を欠いてスコアを動かせなかった。エメリ監督は試合後、今日の勝点に満足はしていないとしつつも、チャンスを作り出し無失点で終えられたことには手応えを感じていると語り、新加入選手たちがチームの戦術構造にフィットするにはプロセスが必要だと強調した。

CLとの両立に挑むヴィラと残留を超えたハルの野心

開幕3試合で勝点7を獲得し、すべて無失点で乗り切ったハル・シティの序盤戦は順調な滑り出しと言える。昇格組でありながら、マンチェスター・ユナイテッド、コヴェントリー、そしてアストン・ヴィラという対戦相手を相手に堂々たる戦いを演じた。ヤキロヴィッチ監督は、プレミアリーグで勝つことがいかに難しいかを示しつつも、このレベルでも十分に戦えることを改めて証明したと選手たちを称賛した。守備の堅実さと新戦力の融合が進めば、チームにとって大きな自信となる。

一方のアストン・ヴィラは、息をつく暇もなく過酷なスケジュールに直面する。チームは火曜日にUEFAチャンピオンズリーグ(CL)のリーグフェーズ開幕戦を控えており、ベルギーでのアウェイゲームに臨む。リーグ戦での未勝利が続く中、欧州最高峰の舞台とのスケジュールをどのように管理するかが問われる。鈴木彩艶の成長や守備の安定といった要素を活かしつつ、攻撃陣の決定力不足を解消することが今後の重要な課題となる。