熱気に包まれたスタジアム・オブ・ライトでの激突
スタジアム・オブ・ライトで行われたプレミアリーグ第4節、サンダーランド対アーセナルの一戦は、激しい肉弾戦と戦術的な駆け引き、そして判定を巡るドラマが凝縮された90分間となった。ホームのサンダーランドは、前節ブレントフォード戦からスタメンを変更せず、組織的な4-4-2のブロックで王者を迎え撃つ。注目は新加入のフアン・アングロが先発に名を連ねたこと、そしてかつてアーセナルで中盤の要として活躍したグラニト・ジャカが、サンダーランドのキャプテンとして古巣に立ち向かったことだ。対するミケル・アルテタ監督率いるアーセナルは、開幕3連勝の勢いをそのままに、アウェイの地でも主導権を握るべく臨んだ。
試合序盤は、サンダーランドがアグレッシブな守備から素早いトランジションを仕掛け、スタジアムに大歓声を沸き起こす。ジャカの正確なプレースキックからダニエル・バラードがヘディングで狙うなど、セットプレーからアーセナルゴールを脅かした。しかし、アーセナルも徐々にボールポゼッションを高め、デクラン・ライスを経由してブカヨ・サカの突破力を生かした攻勢に出る。カイ・ハヴァーツがエリア内で決定機を迎えるも、サンダーランドのGKロビン・ルーフスが立ちはだかり、前半は互いにスコアを動かせずに終了した。この間、アーセナルはディフェンダーのベン・ホワイトが負傷により早期交代を余儀なくされるアクシデントに見舞われ、守備陣のバランス調整を強いられることとなった。
物議を醸した判定とラヤの「世界クラス」の守護
後半開始直後、試合のボルテージは一気に最高潮に達する。サンダーランドのケビン・ダンソが投じたロングスローから、エリア内で競り合ったバラードが倒され、主審のジョン・ブルックスはサンダーランドにPKを与えた。この判定に対し、アーセナル側は猛抗議。リプレイ映像では、バラードが先にコンサに対してファウルを犯していたようにも見え、解説陣のアシュリー・ウィリアムズらも「主審の判定は完全に誤りであり、アーセナルのフリーキックにすべきだった」と同調した。アルテタ監督も試合後、「あのPK判定には非常に失望した。映像を10回見直したが、到底受け入れられるものではない」と、怒りを露わにしている。
しかし、この危機を救ったのが、今や世界最高峰のゴールキーパーとしての評価を確立しつつあるダビド・ラヤだった。エンゾ・ル・フェーが放った鋭いキックに対し、ラヤは完璧な反応を見せてこれを阻止。この劇的なセーブにより、サンダーランドの先制の夢は断たれ、試合の流れは一気にアーセナルへと傾くこととなった。
元宿敵を沈めたギマランイスの劇的弾
ピンチの後にチャンスありというフットボールの鉄則を、アーセナルは見事に体現する。PK阻止からわずか数分後の58分、バイタルエリア付近でパスを受けたブルーノ・ギマランイスが、相手守備の寄せが甘くなった一瞬の隙を見逃さず、迷わず右足を振り抜いた。鋭い軌道を描いたシュートは、クロスバーの下面を叩いて豪快にネットを揺らし、アーセナルに待望の先制ゴールをもたらした。
かつて宿敵ニューカッスル・ユナイテッドでプレーしていたギマランイスに対し、サンダーランドのサポーターからは試合を通じて容赦ないブーイングが浴びせられていた。しかし、この一撃で静まり返ったスタジアムを前に、ギマランイスは耳に手を当てるジェスチャーで応戦。試合後にもSNSを通じてライバル関係を意識したコメントを投稿するなど、元タインサイドの英雄としての意地と、アーセナルの新戦力としての価値を示す象徴的なシーンとなった。
王者の風格を示すアーセナルとサンダーランドの確かな手応え
リードを奪われたサンダーランドも、レジス・ル・ブリス監督のもとで磨かれた闘争心を見せ、終盤にかけて猛攻を仕掛けた。ノア・サディキの中盤でのボール奪取から、ノルディ・ムキエレやジャカのクロスでゴールを脅かす。だが、アーセナルはガブリエウ・マガリャイスを中心とした強固な守備ブロックと、集中力を研ぎ澄ましたラヤのセービングでこれらを尽くシャットアウトした。
そしてアディショナルタイム、サンダーランドのヘイニウド・マンダーバがペナルティエリア内でサカを倒し、2枚目のイエローカードで退場。これで得たPKをサカが冷静に決め、2-0で勝負を決定づけた。
この結果、アーセナルは開幕4連勝を飾り、昨季王者の強さと勝負強さを改めて証明した。不運な判定や主力DFの負傷という逆境を跳ね返した戦いぶりは、リーグ連覇への固い決意を感じさせる。一方のサンダーランドは敗れはしたものの、ル・ブリス監督が「ディテールの差で敗れたが、王者と対等に渡り合えた」と振り返ったように、戦術的な完成度とポテンシャルを証明した。次週に控えるUEFAヨーロッパリーグのAZアルクマール戦に向け、ブラック・キャッツはこの敗戦から多くのポジティブな要素を学び、欧州の舞台へと挑むことになる。